Miles Davis (マイルス デイヴィス) - Doo Bop (1992)

      2016/04/17

Miles Davis - Doo Bop (1992)

ドゥー・バップ

マイルス・デイヴィスがこの最期のスタジオアルバムでも相変わらず追い求めているのは、マイルスならではの音だ。プロデューサー兼ラッパーにイージー・モ・ビーを迎えた本作は、ヒップ・ホップとジャズをクロスオーバーさせたサウンドになっている。クール&ザ・ギャングやジェームス・ブラウンの曲をサンプリングした結果生まれたメロウなグルーブは、アシッド・ジャズに似ていて、かすかにトリップホップ・ジャズも感じさせる。
本作は楽しませてくれるが、リリース以来あからさまに批判されてきた。評論家たちは、マイルスのような天才は古典的な曲(ようするに本作とはちがう音楽)でキャリアの幕を引くべきだと期待していたからだ。そして悲しいことに、イージー・モ・ビーのラップは、マイルスのすばらしさを称えてばかりいるリリックによって、“ありきたり”という言葉に新たな意味を加えているだけだ。とは言え、そうした欠点にもかかわらず本作はいまだに、このジャンルの多くのアーティストを打ちのめしている。その理由はなんと言っても、マイルスが最期まですばらしい演奏を聴かせてくれるからだ。
本作は名作ではないが、とことん楽しめるアルバムだ。この巨匠が人生の最期の日々に新たなジャンルに挑んだ音に、腰を下ろしてじっくりと耳を傾けようではないか。そして、もし彼が生きていたら、マッシヴ・アタックのようなバンドと共演して彼が鳴らしたかもしれない音に思いをはせよう。(Phil Brett, Amazon.co.uk)

発売日: 1992年6月30日
アーティスト: マイルス デイヴィス
レーベル: ワーナー・ブラザース・レコード
受賞歴: グラミー賞 最優秀リズム・アンド・ブルース・インストゥルメンタル・パフォーマンス賞


1.Mystery
2.The Doo Bop Song
3.Chocolate Chip
4.High Speed Chase
5.Blow
6.Sonya
7.Fantasy
8.Duke Booty
9.Mystery (Reprise)

2.The Doo Bop Song

DJ Premier in Deep Concentration - Gang Starr (1989)などをサンプリング。

7.Fantasy

The Champ - The Mohawks (1968)などをサンプリング。

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